汚部屋から脱出できるかもしれない連続WEB小説 『ああ龍神斎さま』

汚部屋から脱出できるかもしれない連続WEB小説 『ああ龍神斎さま』著者:おたろう
注:この作品はもちろんフィクションです。

ある大学生の悩み

桜舞い散るある晴れた日の出来事であった。とある大学の学食で剛司と米雄は学食名物のコロッケ定食を食べながら舞い散る花びらをながめていた。「あーどうしようかな。憂鬱だな。」伸び放題の頭をかきながらため息をつく剛司・・・「どないしてん。こんな気持ちいいのに、ひょっとして恋の悩みとか?ひゃー剛司も春だね・・・。でどうよ。相手はだれ?バイト先の子それとも・・・」「いやいや・・・違う違う。1週間後親が田舎から出て来るんだ。」「それがどないしてん?たまには親孝行もええやんか。」「親孝行したいのは山々なんだけど、俺の部屋にとまることになってて・・・」「わっ。それはやばいな!あんな部屋見たらおっちゃんもおばちゃんも卒倒すんで。」「せやろ。だからどないしよかなおもて・・・」ふと気付けば米雄の関西弁が移っていた。標準語だったのに・・・そんな事を考える間もなく「おまえいいかげん掃除したらいいやんか?きもちええで」「でも俺掃除苦手なんだよな。掃除したらなんか見つかる。それにすぐ興味をもって掃除の事わすれてしまうからなー。」「しゃーないな。俺が手伝ったろか?」「それは助かる。ありがとう米雄」やはり持つべき物は友である。「で、何時よ。」「来週の金曜日」「ちょっと待てよ。」携帯をみる米雄「あっわるい来週までフルでバイト入ってるわ・・・ゴメン」「・・・」友達はやはり当てにならないのか?「じゃあ俺これから約束あるさかい。がんばってなー。じゃあな」「ああ。それじゃ・・・」さっていく米雄を寂しいそうな目で追いかけていた。「フー。」しかたない掃除をするか・・・学校からの帰り道。ふとみると商店街の片隅に小さな神社があることに気づいた。「あれこんな所に神社が・・・気がつかなかった。あっそうだ困った時の神頼み・・・掃除ができるように願掛けでもするか。」はんばすがるような気持ちでジーンズのポケットから小銭を取り出し賽銭箱に投げ入れた。ちゃらんちゃらん・・・。「えーっと。1週間後ぼくの部屋に地元から親がきます、それで掃除をしたいんですが、どうも苦手でうまく掃除ができません。神様ぼくを掃除上手にして下さい。お願いします。」ふー・・・よしこれでいっか。なんだかすがすがしい気分だった。一人暮らしを初めていらい自炊というものをしたことがない。よるごはんは、いつもコンビニ弁当だ。いつものコンビニで雑誌と弁当を買い剛司はアパートへともどった。風呂キッチン付き10畳のワンルーム。それほど狭くはないへや。自分でもあきれるぐらいの汚さだ。気のせいかツーンと雑巾のような匂いがする。去年の夏は暑かったせいか、ゴキブリが大繁殖した。今年はまだ見てないが、夏がすこし恐ろしい。「あーでも汚いな。米雄じゃないけど、これじゃ本当に卒倒するかもな。まー飯でも食ってからやる事にしようか。」今日の夕ご飯はデミグラスソースたっぷりのハンバーグべんとうだ。人気商品でいつもは中々お目にかかれないが今日はたまたまラッキーだった。テーブルの参考書をかきわけホンのわずかなスペースで食事をはじめる。「いただきます。」うんヤッパリ美味い。コンビニも最近味が良くなったもんだ。「ほほー美味そうじゃのー。ハンバーグ弁当か」「うん美味いよ。これお気に入りでさ・・・えっ!!!」剛司は箸をとめた。「わしにも少し分けてくれ。」「・・・」俺つかれているのかな?さいきん弁当ばかりで栄養が偏っているのかな?「そこのソースいっぱいかかっているところ・・・」やはりなにか聞こえる。やっぱりなんかおかしい。ふと目の前をみると小さなへんなかたちをした生き物が目の前にいる。そして一生懸命ハンバーグを指さしている。

あまりにも部屋が汚すぎて変な生物がわいたのか。それともやっぱり栄養不足の幻覚か? 「あの~あなたはどちらさんですか」 「だれじゃと。何か聞く際はお前から名乗るのが筋ではないか!」 「あっ。すいません。僕は剛司といいます。大学は・・・」 「そんなこといい。剛司じゃな。ワシの名は龍神斎。ほれお前ワシをよんだじゃろ」 「えっ。僕がですか・・・」「ほらさっき、掃除が上手くなるようにって社で願かけたじゃろ。それでそこの神さんから依頼をうけてはるばる来てやったわけじゃ。」「そそれは・・・ありがとうございます。」「礼など良い。それよりそのソースいっぱいかかっているところ・・・」「は、はい」すこしとりわけおそるおそる渡す剛司。ズルズルズル・・・「ほっほっーこれは美味じゃのう。人間の食うものもたまにはいいのう。」「プハー・・・・満足じゃ。」ハンバーグをスプーン一杯程度食べ満足そうな龍神斎。それだけでいいんだ・・・・少食なんだ。「ほれおまえも食べろ。」「あありがとうございます。」俺のハンバーグ弁当なのに・・・でもやっぱり疲れている。これはストレスのせいだ。そうだこんなご時世神様なんかいるわけない。「おい剛司!」 「あっハイ。」やっぱりいる・・・。 「お前いまから雑誌読もうと思っているだろう。」 「あっ!まー。」 「たわけ者!お前は親御さんのために部屋を綺麗にして招き迎えるのでは無かったのか。その親おもいな心持に感動してここまで来てやったのに。」

「すいません。今から頑張ります。」「勘違いするな。頑張る必要はない。だいたい部屋が掃除できない奴は頑張るから出来ないんだ。わかるか?」「分
かるような・・・分からないような・・・」「ハッハッハッ!まー良い。ではいくとするか」大きな笑い声の龍神斎、僕はなんだか少したのもしく思えた。これが神様なんだ。でもやっぱり疲れて幻覚をみているんだ。そうだ夢だ。夢なんだ。「それではいくぞ!」

「わが名は龍神斎。汚部屋に悩む者ども、 我が秘術を学び汚部屋の呪縛から解き放たれよ!」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんかしたんですか・・・・・・・・・「・・・・・・あれなんにも変わっていない。なんか術でもかけたんではないんですか?」何か変わったのか?回りを見渡してもいつもの汚部屋だ。「馬鹿もうせ。そんな便利な術など無いは、一つ一つ順番にやっていくんじゃ。」「・・・」そうなんだ。「さてまずは、買出しじゃ。いまから言う物をコンビニでもいって買って来い。」「あっ!はい。」なんなんだこの人・・・えっ人 神 怪獣?「じゃあ言うぞ。」

コンビニで買ってくるもの

ゴミ袋(10枚程度)・ビニール紐・大き目の紙袋2枚ほど・ゴム手袋・マスク・ダンボール箱1箱程度

それから1時間後・・・

なんか言われたとおり買ってきたけど・・・・・まだいるのかな?まだいた。ほんとにこいつ神様なのか?「あのー買ってまいりました。」「遅いぞ。それでは始めるとするか。」「さーまずネットを始めるぞ。」「えっネットですか?ネットってインターネットのことですか?掃除はまだ・・・。」いきなりの事に僕は正直戸惑った。それにネットって・・・「つべこべ言うな!お前はこの地域の分別ゴミの出し方を知っているのか?」「いや知りません。」これには正直おどろいた。僕の部屋が汚部屋になったのも元はといえば都会のゴミ分別の複雑さからだった。「だからそれをこれから調べるのじゃ。ワシは神様界のことならわかるが、おまえらのゴミの分別の方法まで知らぬだからまず調べるのじゃ。エコには配慮しないとのー。」「はい、わかりました」エコなんだ・・・・地球環境配慮型なんだ・・・「おまえら人間どもが水を汚すせいでワシ達の生活の場も汚されているのじゃ。いいかげん環境に配慮しないと祟り神まで出てしまうぞ。」「はい。でどこを調べたらいいんですか。」「立ち上げたな、まずここをクリックするのじゃ→ 全国自治体ごみリンク (運営団体 日報インターネット)」「龍神斎様ここで調べろってことですね。」でもなんでこんなサイト知っているんだ?「そうじゃ。見つかったらプリントアウトするのも忘れずにな。(プリンターがない方は手書きでも良いですよ)」「龍神斎様だれとしゃべっているんですか?」「そんな細かい事は聞くな!さて掃除を始めるぞ。」「はい」とりあえずやって見るとするか。

傾向と対策

「まず汚部屋になりがちな人の傾向として、何をすてたら良いのか判断が出来ないというのがあるのじゃ。だからどうすればいいかというと・・・」「どうすれば良いのですか?」「どうすれば良いと思う?」「ウーン」それがわかれば苦労しない。「なんかコツみたいなのがあるんですかね~。」「おぉ良いところに気がついた。そうじゃコツがあるんじゃ。」「でも人によってもそのコツが違うとか・・・。」「まあな。確かに人によってコツが違うんじゃが・・・ここでは大まかに殆どの人に適応するテクニックを伝授するとする。それには・・・」「それには・・・」「それには・・・まず捨てた所で惜しくない物を捨てる事じゃ。!!!」「えっ、そんな事なんですか?」「あれ 驚かんのか?」「すごい単純じゃないですか。そんなの誰だってできますよ。」「ばっかも~ん!それができていないからこんな始末なんだろ。」「でも・・・」「いいかこの方法をあなどってはならぬ。これを行なう事で殆どの場合解決策がみえてくるんじゃ。」「そんなもんなんですか・・・ではまずどうしたら良いんですか?」「まずはゴミじゃのう。生ゴミやペットボトルなど明らかにゴミとして分かる物を捨てるんじゃ。」「わかりました。じゃあ始めましょうか。」「ちょっとまて。まずはあれを片付けろ。」「あれって台所ですか?」「そうじゃ洗い物をするのじゃ」「えっ洗いものですか・・・。」「そうじゃ!まずは洗い物じゃ。例えばそこにある空き缶、随分前からあるようじゃが中身はまだあるのう。空き缶の収集日は何時じゃ?」「今週の金曜日です。」「そうか金曜日か。それじゃあ、あと3日は捨てられん。その間そのままにしておけば臭いがするおまけに虫までよってくる。だから中身をさっとゆすいで置くんじゃが、でも台所を見てみい。あんだけ溜まった台所でそんな事できるのか?」「そうか・・・。分かりました。洗い物を始めます。」そして僕は強烈な悪臭のする台所に向かった。「まてまて。買った中にゴム手袋と、マスクがあったじゃろ。それをつけろ」「そうか」僕はこのとき初めてマスクとゴム手袋の意味がわかった。悪臭を長時間吸うと体調がわるくなる。そして汚い物に素手で触るのには抵抗がある。おまけに虫がでても素手より恐くない。うぉースゲ-この細かな配慮・・・ウルウル!なんてすごいんだ。ウォー。「剛司まず汚れの少ない物から洗うのじゃぞ」「はい!龍神斎さま」いつのまにか僕はこの奇妙な怪獣がちょっぴり好きになっていた。「あれ・・・これ落ちないや。龍神斎さま、この鍋こびりついて取れません捨てましょうか?」「たわけ者!そんな事で一々資源を無駄にするな。そういうこびり付いた汚れはぬるま湯をはって少し置いておけ」「あっ・・・はい(汗)どれぐらいおいておけばいいですか?」ちょっと怖い・・・「そうじゃのう。物にもよるが30分から1時間かの~」「龍神斎さまこの鍋で一応最後なんですが・・・」「そうか。じゃあそれは後から洗うとするか。邪魔にならないようにコンロの上にでも置いておけ。」「はい。えーっと次は・・・」「次はあらい物がおわった皿やグラスを買ってきた布巾で拭くんじゃ。自然乾燥もいいんじゃが。布巾で拭いておけばすぐにしまえるじゃろ。」「そうですね。分かりました。」家具特有のツーンと新しい臭いがした。久々に食器棚をあけた気がする。僕は食器棚に皿やグラスをしまいこんだ。「龍神斎さま。いよいよゴミ捨てですね。」「そうじゃのう。よくやった。次はまずゴミを一つ一つ集めていけ。まずはペットボトルからじゃ。それをシンクに集めるんじゃ。」・・・次回につづく